Simon Busser

●Chaos/2017(カオ:マルベック80%、メルロー10%、ガメイ10%)2019年11月リリース

【2019年3月入荷】

若々しい紫がかった真紅の色合い。ブルーベリーやカシスなどの凝縮した黒系果実主体に葉付きの苺やフランボワーズなど赤い果実の引き締まった果実香が混ざります。色合いや香りは濃くしっかりとしたイメージを抱かせますが、瑞々しく軽やかな口当たりで控えめな甘さとジューシーな果実味、それに似た溌剌とした酸がバランス良く感じられます。エキスは緻密でざらつきがなく滑らかに流れ、何一つ負担のない飲み心地です。黒葡萄の果皮を噛んだ時のようなタンニンは僅かに舌に当たる程度で、アフターには凝縮した果実味に加え、仄かに生姜のようなスパイシーさと紅茶を想わせる芳香が残ります。時間の経過でカシスリキュールなどの充実した果実味に心地よいハーブの爽やかさ、ジャスミンの茶葉の香りが加わり更に表情を豊かにし、抑揚や華やかさを与えています。チャーミングで人懐っこい印象で気取らずに楽しめますが、ジュース的ではなくワインとしての表情がしっかりと感じられるミディアムフルの仕上がりです。

●Originel/2016(オリジネル:マルベック70%、メルロー30%)2019年11月リリース

【2018年11月入荷】

深いルビー色。ブルーベリージャムやレーズン、ドライプルーンなどに酸のある赤い果実の香りが混ざり、それに加え樽由来のバニラやタバコの甘い香りが仄かに感じられます。色素が濃いためしっかりとしたワインを想像しますが重厚な印象ではなく、控え目な甘さで果実味に輪郭を与えるような伸びやかな酸が飲み心地を軽やかにしています。グレナデンやブラックベリーなどのエキス感の詰まったベリーソースとカカオが混ざりあったような風味が弾けるように広がり、細かなタンニンが僅かに残ります。若々しい果実味にバニラの風味が加わることで穏やかさでまろやかな印象が加わり、重心は低く落ち着いた味わいを感じさせます。樽で熟成させることで緻密な果実味に繊細な質感や骨格、味わいに深みを与えています。今後の熟成でより繊細さや軽さが加わり上品な様子が引き出されていくことでしょう。
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