Jean Louis Bonnin – Le Fil de Soi

ル・フィル・ド・ソワ

「Fil de soi」とは英語で「Sense of self」、「自身の感覚」という感覚を指します。これには周りの人が何と言おうと、ワイン造りに対しても他と同様にJean Louis Bonnin(ジャン・ルイ・ボナン)がモットーとする、自分自身の感性を信じて向き合う意味を込めたものです。

ジャン・ルイはロワール地方のソミュールエリアから南に30分ほど下ったメロン村にある野菜農家の2代目として、これまで約30年にわたり活動してきました。家業に加わった当初は農薬と除草剤に化学肥料を使う一般的な栽培方法でしたが、それに大きな違和感を覚えすぐに有機農法へと舵を切ります。

この変化は醸造においても同様で、亜硫酸に留まらず多くの添加物の投入など人的介入の多い醸造を止め、あらゆる添加物に頼らない究極的にナチュラルなワインを造ってきました。(詳細は「ドメーヌについて」の部分で説明しています)。

「私は自然に対し大いなる敬意を払って作物を育てています。この点は醸造に対しても同じで、上質なぶどうだけを用い微生物の営みを尊重して発酵させることは、ごく自然な成り行きでした。あとは自分の感性を信じて、手を差し伸べる程度の必要にして十分なケアをしているに過ぎません。」と彼は話してくれました。そのワインから感じられるのは、完熟したぶどう由来の凝縮感に加えて柔らかくシームレスな液体が身体に抵抗なく馴染んでいく感覚。これは極めて低収量の栽培と、健康なぶどうのみを厳選して用いることで生み出される、自然の恵みそのものの味わいと言えるのかもしれません。

*ドメーヌについて

ジャン・ルイ(50代前半)と息子のルイ(20代後半)の二人でドメーヌを経営する。

正式な初ヴィンテージは2019年。ジャン・ルイは他のドメーヌで修行した経験はなく、父親に醸造の基本的なことを教わった。

*畑と栽培

●2024時点で1.2ha(カベルネフラン0.8ha、シュナン0.4ha)所有。1980年前後に植樹された樹齢40年を超える畑。

●メロン周辺の土壌は表面が砂や砂利、粘土石灰などと場所によって違いはあるが、下層は主にマルヌで形成されている。樹齢が古くなればなるほど根が保水性の高いマルヌに接触して、ぶどうが乾燥から守られる。

●密植度は3,000本/haと一般的には低い(例えばシャンパーニュ地方は平均8,000本/ha)ため栄養不足にはならないが、栄養過多になることを防ぐため肥料は与えず、耕起は最低限に抑えて適度なストレスを与えながら栽培する。

●収穫量は平均約15hl/haと極端に低く(例えばロワール地方は50~60hl/ha、シャンパーニュ地方は約60~80hl/haなど)、不作の年は10hl/haを下回ることもある。

*醸造

●醸造は至ってシンプル。果実味を純粋に表現することを目的として、以下のように行う。ダイレクトプレスは全房で、マセラシオンする場合は全て除梗して、ピジャージュは手で行う。プレスはバスケットプレス、果汁は重力でタンクへ移動させる。樽は用いず、ステンレスタンクだけで発酵と熟成。熟成期間中は澱引きをせず、瓶詰めも直接タンクから手作業で行う。醸造から瓶詰めに至るまで添加物は一切使用しないVin pur jus。

●熟成期間は、ステンレスタンクで15〜18ヶ月間。瓶詰め後は最低でも12ヶ月間セラーで保管してからリリース。

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