Julien Crinquand&Charline Boivin

ジュリアン・クランカン&シャルリーヌ・ボワヴァン

ジュリアンとシャルリーヌは、2019年よりアルボワの隣町レ・ザルシュールでワインを造っています。ジュリアンは葡萄生産者の家系に生まれ、学生時代から畑仕事に携わっていましたが、当時は家業やワイン造りにおいて特別な関心はなく、ワインは身近な自然派ワイン生産者の友人たちと嗜む程度でした。そんな彼のキャリアが大きく変わるきっかけとなったのが、2016年のある日、友人たちと訪れたメゾン・ピエール・オヴェルノワの試飲会でした。そこで彼は、ピエールの1979年と1986年のヴァン・ジョーヌを飲み、ピエールの話しを聞きながらその奥深い世界に触れます。「当時の私にとってこの経験は衝撃的であり、ワイン造りへの興味が芽生えた瞬間となりました。あのヴァン・ジョーヌの強烈に複雑ながらも繊細な味わいと、それに心を動かされた感覚は9年間たった今でも鮮明に覚えています。その後、昔から知り合いだったドメーヌ・サン・ピエールのファブリス・ドダンのキュヴェChaponやLes Brûléesをはじめとする、長期熟成型ワインの持つ複雑味に強く惹かれるようになりました。」と彼は話します。その頃、ジュラ地方では畑の取得が非常に困難になる中、ジュリアンは幸運にも家族から5haもの畑を受け継ぐ機会に恵まれ、ワイン生産者としての道を進むことを決意しました。すぐに栽培・醸造学校に進学し、サン・ピエールとフィリップ・ボールナールの元で2年間研修後、2019年に自身のドメーヌを設立。翌年には、元パティシエールであるパートナーのシャルリーヌも加わり、現在2人で力を合わせてワイン造りに励んでいます。彼らのワイン造りの哲学の中心にあるのは、長期熟成へのこだわりです。初ヴィンテージとなる2019年は遅霜による大きな被害を受けたものの、サヴァニャンは3年間熟成し、翌年の収穫量が充実した2020年ヴィンテージに関しては、現時点(2025年)でもなお熟成中のワインがあるほど、じっくりと時間をかけたワイン造りをしています。2019年から2024年の間、ジュラ地方は3ヴィンテージも遅霜による収穫量の大きな減少を経験しましたが、彼らは焦ることなく、忍耐力と丁寧な仕事を心がけながら日々ワイン造りに向き合っています。2人の赤ワインは、ジュラ地方では比較的珍しく、少し力強い仕上がりです。濃い果実味とスパイス感が詰まった濃密なスタイルで、長期間熟成にも適しています。白ワインも同様に、しっかり熟した果実味を持ちながら、存在感や骨格を感じる酸味を備えたエネルギッシュな仕上がりとなっています。

*ドメーヌについて

アルボワに5haの畑を所有し、ジュラの5大品種(シャルドネ、サヴァニャン、プルサール、トゥルソー、ピノノワール)を栽培する。土壌構成はマルヌ(一般的な粘土質よりも濃度が高いタイプの粘土)に石灰が混ざる土壌で、斜面は主に南向きと西向き。樹齢は5年〜10年の若木と40年〜60年の古木が混在する。

ジュリアンは大のラグビー好きで、10歳の頃からプレーしています。弊社が以前から取引を続けているレ・バルバトルクスのマキシム・ランネイも同じくラグビー好きで、2人は同じチームでプレーする親しい仲です。このラグビー愛は家族代々受け継がれており、ワインのラベルにはフランスラグビー連盟のジャケットを着たジュリアンの祖父・ジャンの肖像が描かれています。これは、クランカン家で初めて葡萄栽培をはじめた彼への敬意を表すためであり、ドメーヌ名とは別に「Les Canons du Jean(ジャンのワイン)」という名を付けています。(フランスではワインを「Le Canon」と呼ぶことがあります。)

リリースされるワインのほとんどは亜硫酸を含む添加物を一切使用せず、必要に応じて瓶詰め時に10〜20mg/Lの亜硫酸を添加する場合があります。

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