Samuel Boulay
●Damoiselle/2016(ダモワゼル:ヴィオニエ)2019年9月リリース
【2019年8月入荷】
黄金色。ヴィオニエという品種は芳香の高さと甘さなどを想像をさせがちですが、このワインには全くそのような印象はありません。若い洋梨やりんごなどを想わせる果実香に、僅かながら土や煙などテロワール由来のニュアンスが感じられます。サミュエルのワインには畑や庭、森などの自然豊かな景色が思い浮かぶような香りや風味が感じられ、目を閉じると穏やかでリラックスできるような印象を受けます。冷涼感のある綺麗なタッチで瑞々しく、ほどよい甘さと酸、果実味が三位一体となり甘酸っぱくジュワ〜っと旨味が広がり軽快な飲み心地です。
スワリングすると仄かに白葡萄やライチ、シュクレフィレ(糸飴)のような芳ばしい風味などが現れます。また、時間の経過でりんごの蜜や蜂蜜のような柔らかい甘さや深みを感じさせる風味が現れ、ほどよくコクや複雑さが加わっていきます。流れるような葡萄由来のすっきりとした酸が芯となり、その周りを円い果実の風味が肉付けするように包み込み、サミュエルの人柄がそのまま感じられるような優しくて穏やかなワインです。
●Ristournelle/2016(リストゥルネル:ルーサンヌ・ブラン)2019年9月リリース
【2019年8月入荷】
僅に濁りのある黄金色。洋梨や柑橘のピールのようなほろ苦い風味、白葡萄のマリネや果皮を想わせる青みがかった爽やかさや甘み、フレッシュハーブにややドライハーブが混ざり合うような風味が仄かに加わります。フルーティーなだけでなく複雑さも伴う印象で、どことなくロワール時代のサミュエルのワインを思い出させる冷涼感や風味があり魅力溢れる味わいです。葡萄らしい風味と心地良い甘さ、フルーツ由来の酸があり海を想わせる旨味が溢れるように広がります。僅ながら揮発酸が感じられますが、旨味や味わいの風味の方が強いため強調されることがなく嫌味がありません。揮発酸のニュアンスは時間とともにワイン中にほどけ、まろやかに感じられていきます。心地良い甘さが舌の中盤まで感じられ、柑橘の爽やかな風味と角のない酸が道筋を明確にし、より旨味が増していきます。アフターに残る旨味と僅かなハーブ感や白葡萄の風味はフルーツサラダのようなイメージを残してくれます。
●Ritournelle/2016(リトゥルネル:ルーサンヌ・ルージュ)2019年9月リリース
【2019年8月入荷】
ほのかにオレンジがかった軽い赤色。熟した新鮮な赤い果実の果汁を想わせる香りにグレナデンやデーツ、ドライいちじくなどのやや凝縮した果実が混ざり合うような香りが感じられます。口に含むと香りの深さに比べ繊細で上品な様子が伺え「ローヌのプールサール」とサミュエルが言っていたように、まさにそのような仕上がりです。南の果実味を想わせるボリュームや風味をどことなく感じさせながら、瑞々しい口当たりで味わい深さと品の良さが感じられます。新旧の果実味と熟成由来の深みが共存するような風味や甘草などのドライハーブ、そして一定に流れるような酸があり、柔らかく雑味がなくスムーズに体へと馴染んでいきます。すっと流れるような飲み口で口中には優しい甘さや味わい深さなどが広がる心地よさは、ついついもう一杯と手が伸びてしまう魅力をもつ仕上がりです。