Michel Gahier

●Arbois blanc Les Follasses/2016(アルボワ・ブラン・レ・フォラス:シャルドネ)2020年3月リリース

【2019年8月入荷】

樹齢約45年。やや濃い黄色。白いメロンや淡い桃、柑橘などの果実香に蜂蜜や白い花などの膨らみのある香りが混ざります。仄かな甘さを感じさせるアタックで舌の中盤まで優しい雰囲気が残り、蜂蜜や黄色の柑橘などの風味が解け合いながら広がり、張りのある綺麗な酸が全体に輪郭や締まりを与えています。若々しい果実のニュアンスにコクや深みがほどよく加わり馴染みやすい口当たりで、甘酸っぱい風味と海を想わせる旨味が残ります。開いていくにしたがい仄かにカラメルのような風味などの複雑さを感じさせる要素が現れ、旨味や奥深さが増し、更に丸みを帯びた印象が感じられるようになります。

●Arbois blanc Les Crets/2015(アルボワ・ブラン・レ・クレ:シャルドネ)2020年3月リリース

【2019年8月入荷】

樹齢約50年。麦藁色。黄色の柑橘に白いメロン、白や黄色の花や蜂蜜香、僅かにフレッシュハーブを想わせる爽やかさや鉱物的なミネラル香が加わります。
口に含むとふわっと優しいバニラ香が感じられ、黄色の柑橘のドライフルーツやピールの砂糖菓子のような風味と相まって円みのある穏やかなアタックで、中心に凛とした柑橘系の酸があり、その周りにバニラや果実の柔らかい風味が寄り添うように感じられます。アフターにかけて徐々に香りや味わいが膨らみ、旨味感がゆっくりと続いていきます。フォラスに比べ複雑さや深みを想わせる香りや要素が多く感じられ、果実もややとっぷりとした印象です。時間の経過で更に熟した果実の風味や僅かなカラメル香など複雑さや深みが増し、舌にのった時の瑞々しいタッチから徐々に膨らんでいく豊かな味わいやタッチの変化を感じることができます。

●Arbois blanc  La Fauquette/2014(アルボワ・ブラン・ラ・フォーケット:ムロン)2020年3月リリース

【2019年8月入荷】

樹齢約55年。やや濃い黄金色。400Lの樽で3年間酸化熟成させています。それほど強い酸化のニュアンスではありませんが、フレッシュ感も保たせながら酸膜の下で熟成させることで旨味や深みがプラスされ、複雑さが果実の風味にほどよく加わっています。文旦やはっさくのような柑橘の風味、新鮮なりんごや擦りおろしりんご、アプリコットなどの果実の風味、それに蜜やタバコ、淡いカラメルなどの香りが複雑さを加えています。まろやかな口当たりで、果実と酸化熟成由来それぞれの酸が混ざり合いながら全体をまとめ、酸には角がありません。酸化熟成由来の旨味とコクが、樽由来のバニラ香やいきいきとした果実味と一体となり、心地よい風味の甘さと奥行きの感じられる緻密な味わいが長く続き、魅力的な仕上がりです。

●Arbois rouge  Le Clousot/2017(アルボワ・ルージュ・ル・クルソ:トゥルソー)2020年3月リリース

【2019年8月入荷】

樹齢約30年。僅かにオレンジがかったルビー色。凝縮したドライ苺のような風味と新鮮な赤い果実の果汁が混ざり合うような香りに、甘草のようなドライハーブやドライフラワー、僅かなフュメ香が加わります。色合いからも軽やかさを想像させ、タッチも瑞々しく軽快な飲み口ながらも味わい深く、果実感と共にダシのニュアンスとほどよく茎や葉など野山を想像させる風味が感じられ、複雑でしっかりとした要素も感じることができます。瑞々しくしなやかで、若さと複雑なイメージの両方がミックスされたような風味、そして上品な印象を早くから楽しむことができます。

●Arbois rouge  La Vigne du Louis/2017(アルボワ・ルージュ・ラ・ヴィーニュ・デュ・ルイ:トゥルソー)2020年3月リリース

【2019年8月入荷】

樹齢約45年。ややオレンジがかった中程度の赤色。クルソに比べよりしっかりと詰まった味わいとパワフルさ、全体のエキス感を強く感じます。グレナデンや赤い果実のドライフルーツなど凝縮感のある果実味を多く感じ、スミレの花や大地のようなニュアンスも伺わせます。口に含むと香りよりも妖婉さやしなやかさが感じられ味わいもグッと広がりを見せ、僅かなタンニンが舌に残ります。柔らかく穏やかな口当たりで、果実味とそれに似た甘い風味が調和良く広がり、温かみが感じられます。緻密なエキスで芯がしっかりとし、やや生真面目さを想わせるかっちりとした雰囲気を感じますが、熟した葡萄由来の小気味良い甘酸っぱさと果実味などが、それを和らげるように優しさと馴染みやすさを与えています。現在も品の良さや繊細さを感じますが、この先の熟成も十分に期待が持てる力が備わっていますので、更にエレガントな一面が引き出されていくことでしょう。
抜栓2日目以降、かなり僅かではありますが豆のニュアンスを感じるような感覚があったり、またもう一口含むとそれを感じなかったりといった様子が見受けられました。1週間ほど確認を続け、大抵の場合豆のニュアンスは感じませんでしたが、時にそのような感じを抱く方もいらっしゃるかもしれません。懸念される方は抜栓当日に飲みきって頂くことをお勧め致します。

●Arbois rouge  Les Grands Vergers/2017(アルボワ・ルージュ・レ・グラン・ヴェルジェ:トゥルソー)2020年3月リリース【2019年8月入荷】

樹齢約70年。ややオレンジがかった淡い赤色。ドライ苺やグレナデンなど赤い果実の凝縮感のある香りに僅かな黒系果実のニュアンス、スミレやお香、ドライフラワーや土などの香りが加わり、果実香のみならず複雑な様子が伺えます。負担のない澄んだ飲み心地で馴染みやすく、ほどよい甘さを舌先に残し伸びやかな酸と熟した赤い果実の風味、上品で奥行きの感じられる香りなど複雑な要素が絡み合いながら口中に広がります。長熟なイメージを抱かせる骨格やブレのなさがありながら、既にピノ・ノワールのような品格と繊細さを持つ印象です。喉を滑らかに通り抜け充実した風味と旨味、味わい深さが余韻に長く続きます。古いグランヴェルジェを飲むと驚くほどに繊細で引き込まれるような複雑な風味、そして果実味も感じさせつつ上質なピノ・ノワールのような雰囲気があります。これから先の熟成でタッチはより繊細になり、複雑さやエレガントさは一層引き立ち更に魅力的な妖艶さが溢れる味わいになっていくでしょう。
ラ・ヴィーニュ・デュ・ルイと同様に抜栓2日目以降、かなり僅かではありますが豆のニュアンスを感じるような感覚があったり、またもう一口含むとそれを感じなかったりといった様子が見受けられました。1週間ほどの間確認を続けましたが、大抵の場合豆のニュアンスは感じませんでしたが、時にそのような感じを抱く方もいらっしゃるかもしれません。懸念される方は抜栓当日に飲みきって頂くことをお勧め致します。
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