Yannick Pelletier

●Coccigrues/2014(コクシグル:グルナッシュ、カリニャン、シラー)赤 2021年1月リリース

【2018年4月入荷】
ヤニック・ペルティエのトップキュヴェ。
ラベルに書かれている文章は15世紀に実在したとある小説家の作品から引用されたもので、それは戦争に敗れて国を追われた王様が、魔女ル・ビドンのに会い予言を受けた際の話しです。「伝説の鳥コクシグルがあなたの元に訪れる時、あなたも王として戻れるであろう。」しかし、待てど暮らせどコクシグルが王様の前に現れることはなく、彼は失意のうちに亡くなったという。何故なら、コクシグルは架空の鳥だったから。この話しには、人生は終わりのない旅であり目標へ辿り着くまでに様々な試練が待ち受けている。だからこそ、努力を怠らず気持ちを前向きに突き進むことが大切である、という意味が込められています。
エッジにややオレンジがかった様子が見られるルビー色。2018年の入荷当時は現在よりも色合いや骨格はやや強い印象があり、また3時間弱で豆のニュアンスを感じる状態でしたが、それから約2年8ヶ月休ませたことで抜栓当日にネガティヴな要素は見られず、色合いから見てもミディアムスタイルのイメージが湧きます。抜栓3日目位にアフターにごく僅かな豆のニュアンスを感じる方もいらっしゃるかも知れませんので、気になる方は早めにお楽しみ頂くことをお勧め致します。
抜栓時は果実の香りが控えめで、ブラックオリーブやたまり醤油を想わせる香りがやや強く、その奥に黒系果実のドライフルーツや赤い果実のリキュールのような香りが感じられます。スワリングするとその印象が逆転し果実香が上回る印象を受けます。比較的早く香りは開いていきカリニャン由来のピュアな赤い果実や酸、シラー由来の華やかさやブラックオリーブの香りが混ざり合い軽くしなやかなアタックで、徐々に膨らむ風味はグルナッシュ由来のドライプルーンやデーツ、いちじく煮やビターカカオなどが混ざり合うように広がります。凝縮した果実味が豊かで甘い風味などは控えめ、またカカオニブのようなタンニンが僅かに舌に足跡を残すため、少しビターでドライな印象、そして骨格もしっかりとし佇まいを想わせます。それでいて最後にはアタックに感じられたようなピュアな赤い果実が弾けるような風味と酸が感じられ、充実感のある果実味を残しながらキュッと引き締めてキレの良い仕上がりです。この先の熟成による変化も大いに期待できる味わいです。
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