Michel Guignier

●La Bonne Pioche/2015(ラ・ボンヌ・ピヨッシュ:ガメイ)赤 2021年4月リリース

【2019年1月入荷】
僅かに紫がかった中程度の赤色。ソフトドライ苺やブラックチェリーのコンポートなど例年に比べやや凝縮した果実の香りに、お香やポプリ、畑や花壇に咲く紫色の花々、土や茎などの香りが感じられます。野山を散策しながら野苺やブラックベリーなどを頬張り、自然の中に浸っているようなイメージが湧いてくるどこか懐かしさを感じる素朴な印象を受けます。
口中では香りに感じられた果実の風味に、熟したフランボワーズやクランベリーなどを想わせる張りのある酸が加わり全体を引き締め、苺のコンポートやグレナデンのような甘酸っぱい風味が現れます。暑い年だったことで例年に比べ凝縮した果実味を持ちながら、しっかりと酸が残っていることも相まって、5年以上経過した現在でも若々しい果実味を保ちつつ旨味やこなれた様子がほどよく引き出されています。たおやかな雰囲気の中にも明るい愛らしさが感じられる1本です。
●Au Fil du Temps/2015(オー・フィル・デュ・トン:ガメイ)赤 2021年4月リリース
【2019年9月入荷】
やや淡いガーネット色。グレナデンや赤い果実のコンポート、リキュールなど凝縮感のある果実香を主体に、赤紫蘇や梅、白胡椒、腐葉土や根菜を想わせる香りが加わります。角の円い穏やかな口当たりで甘さは控えめ、明るく瑞々しい印象のラ・ボンヌ・ピヨッシュに比べ、より熟した果実味や深みの感じられる、やや重心の低い印象を受けます。赤すぐりやザクロなどが弾けるような酸と共に豊かに実った葡萄だったことをイメージさせる果実味を残しながら、熟成の経過の中で得た軽やかさや上品で奥ゆかしい落ち着いた雰囲気など、様々な要素が馴染んでいます。しっとりと体に沁み込むような飲み心地で、ピュアな赤い果実の印象とやや男性的な骨格が重なりながら、アフターにかけて徐々に梅かつおのような旨味や奥行きの感じられる味わいです。
●La Petite Oseille/2015(ラ・プティット・オゼイユ:ガメイ)赤 2021年4月リリース
【2020年7月入荷】
ルビー色。苺のコンポートやフランボワーズなど完熟した様子と華やかな赤い果実が混ざり合う可愛らしい香りに、より魅力を引き立ててくれるようなバラや紫の花、お香、白胡椒などの香りが加わります。軽やかで澄んだ心地良い口当たりで、芯のある酸が中心に感じられ、それを果実味がベールのように優しく包みながら喉へと流れていきます。ムーラン・ナ・ヴァンのテロワール由来のしっかりとブレのない骨格や充実感をほどよく感じさせながら、岩清水のように瑞々しくしなやかで、奥深く複雑性を伴う印象などが見受けられます。既にピノ・ノワールを想わせるようなエレガントな印象や風味が感じられますが、今後の熟成で味わいは更に繊細になり、一方で旨味、深みが増していくことと期待が高まります。
●Moncailleux/2015(モンカイユ:ガメイ)赤 2021年4月リリース
【2020年7月入荷】
ラ・プティット・オゼイユの樹齢60年を超える古木の葡萄のみを使用。
エッジにややオレンジが見られるルビー色。熟した赤い果実の芳醇な香りに、ブラックベリーやブルーベリーなどの黒系果実がやや混ざるような果実香、加えてドライフラワーやお香、スパイス香が感じられます。色合いや香りからもエレガントな印象を受け、口に含むとその期待を裏切らないハッとするような香しい上品な様子が感じられます。円みのある優しい甘みが舌先にあたり繊細で滑らかな口当たり、ほどよく酸味を含むピュアな赤い果実をイメージさせながら、抜けるような澄んだ酸と共に広がります。体へと馴染むように染み込み、口中では若々しく無垢な果実の風味と奥ゆくかしく落ち着いたトーンがハーモニーのように重なり、複雑性を伴いながら膨らむ風味が留まり、余韻にも長く続きます。ミッシェルが理想とする「喉を潤すような飲み心地でありながら果実感やしっかりとした味わいが感じられるワイン」まさに、熟成を経て感じられるその理想の飲み心地がこのワインに詰まっていると言っても過言ではありません。
可愛らしくも妖艶で軽やかさの中にも芯がしっかりとし、凛とした印象を見せてくれます。この先の熟成でより複雑さや艶やかさなど魅力が増していくことでしょう。
by
関連記事