Laurent Bannwarth

●Edel/2018(エデル:ピノ・オーセロワ、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカ)白 2020年5月リリース

【2020年4月入荷】
麦藁色。りんごやマスカット、ライチやプラムなど様々な完熟フルーツの香りや、白や黄色の花を想わせる華やかさや仄かなドライハーブ、蜂蜜などの複雑な香りが感じられます。例年のアロマティックでフレッシュ感溢れる果実などの芳醇な印象に加え、ドライハーブなどから引き出される落ち着いた雰囲気を感じます。口に含むと甘やかな果実香の印象に比べ伸びやかな酸がありすっきりとした飲み口で、芳醇な香りを楽しみながら輪郭の感じられる辛口です。アフターにかけて僅かにミルキーな風味があり柔らかく円さやコクが感じられる変化のある味わいです。2日目にはやや色合いが濃くなり若干酸化した印象が感じられ、擦りりんごや杏などの風味が鼻腔に抜けていきます。
●Gewurtztraminer/2018(ゲヴェルツトラミネール)白 2020年5月リリース
【2020年4月入荷】
ごく僅かに濁りの見られるやや濃い黄色。品種からイメージするライチ香などは控えめで、庭や公園などから気づくと薫ってっくるようなジャスミンや沈丁花を想わせる木々の、香り高い白い花や柑橘のピールに似たほろ苦い香りが多く感じられ、その奥に黄桃やアプリコットなど熟した果実や蜂蜜などの甘やかな香りが仄かに感じられます。角が丸く穏やかにあたる酸と果実味や仄かな甘みがバランス良く口中に広がることから、15.5%とアルコール表示は高いものの、重たさやボリューム感を感じさせず軽やかなタッチの辛口です。余韻には僅かにミルキーな柔らかな風味、そしてジンジャー香が現れ抑揚を感じさせます。2日には香りに感じられた黄桃などの果実のフレーヴァーや味わいがより深まる印象で、一層全体がまとまり魅力的な様子を引き出します。
●Pinot Gris Qvevri/2016(ピノ・グリ・クヴェヴリ)白 2020年5月リリース
【2020年4月入荷】
僅かに濁りのある仄かにオレンジがかった濃い黄色。熟した黄桃やプラム、ドライアプリコット、ビターオレンジの果皮、有機のハーブティーのような香りが混ざり、完熟果実の中に複雑な様子が感じられます。アルコールは14%とやや高めの表示ですが、マセラシオンやアンフォラなどからイメージしがちなパワフルでタンニンをしっかりと感じるものとは裏腹に、ピノ・グリらしい桃のコンポートなどの引き込まれるような豊かな果実香と柑橘のピールのほろ苦さがほどよくマッチしています。張りのある酸がそれらの風味を引き立てつつ軽やかな飲み心地に感じさせてくれます。ゆっくりと時間をかけ熟成された深みや複雑さ、旨み、芳醇で優しい果実味が一体となった調和の良い奥行きのある味わいです。
●Pinot Noir/2018(ピノ・ノワール)赤 2020年5月リリース
【2020年4月入荷】
深いルビー色。ソフトドライや完熟した赤い果実の印象を併せ持つエキスの詰まった果実の甘さ控えめな香り、それに加えカルダモンなどの爽やかなスパイス香が感じられます。口に含むと香りからのイメージに比べすっと抜けるような軽やかな飲み口で、グレナデンや赤い果実のフルーツソースのように凝縮した風味が広がり、澄んだ酸が軽快さだでなく奥へと引きこむように導きます。ブルゴーニュのピノ・ノワールのように軽やかな果実味とピンと張りのある酸をもつスタイルではなく、アルザスの南の地域らしい凝縮した果実感やエキスのしっかりとした味わい、そして品格を感じさせながら、綺麗で伸びやかな酸が冷涼感や軽さを与え飲み心地のスムーズな仕上がりです。
●P’tite Bulle/2018(プティット・ブル:ピノ・オーセロワ主体、他ミュスカなど)白微発泡 2020年6月リリース
【2020年4月入荷】王冠
ややとろみのある黄金色。熟したプラムやマスカット、ライチなどの果実香に紅茶や白い花などの華やかな香りが加わり、アロマティックな印象が感じられます。プティット・ブル(少しの泡)という名前のとおり一瞬舌先をピリッと刺激する程度の微炭酸で、とろみがあることからゆっくりと芳醇な果実の風味とマスカットのような柔らかい甘みが広がります。アロマティックで華やか、それと共に甘く膨らむ果実のニュアンスを感じさせながら、キリッとした酸が重たさを軽くさせメリハリをつけます。僅かに揮発的な酸ではありますが、芳醇な果実味と相性は抜群で馴染みやすく感じられます。アフターにはりんごをかじった時のような溌剌とした風味が抜けていき、フレッシュで爽やかな雰囲気を残します。2日目にはやや酸化に引っ張られるように色合いは深まり、マスカットなどの風味に加え杏などの甘酢っぱい風味が現れます。
●La vie en Rose/2017(ラ・ヴィ・オン・ローズ:ゲヴェルツトラミネール)ロゼ 2020年6月リリース
【2020年4月入荷】
やや濁りのある淡い煉瓦色。ライチやプラム、アプリコットや梅など華やかで甘酸っぱい果実の香りに、マセラシオン(10日間)由来のピンクグレープフルーツのようなほろ苦いビターな香りが加わり引き締まる印象を与えます。舌先にほどよい果実の甘みがあたり、キュッと締りのある酸は少し揮発酸の高さが見受けられますが嫌味がなく果実味と共に調和良く感じられ、梅かつおのような旨みがじんわりと溢れ余韻に続き、紅茶のようなタンニンが僅かに残ります。2日目には色合いは僅かに褐変し、果実の風味は桃やドライアプリコット、柑橘のピールなどのビターなほろ苦さとアロマティックな印象が深まります。
●Pinot Noir Bildstoeckle/2018(ピノ・ノワール・ビルドストックレ)赤 2020年6月リリース
【2020年4月入荷】
ルビー色。このビルドストックレは通常のピノ・ノワールに比べ12日ほど遅い収穫のため、より凝縮した赤い果実やフィーヌのような熟した黒葡萄の果皮を想わせる香りが、緻密なエキス感をイメージさせます。甘い香りは控えめで、テロワール由来の土や根菜のような香りも若干加わります。大地のニュアンスが感じられることで、赤い果実の様子には落ち着いた雰囲気があります。スワリングすると苺のコンポートや赤い果実のフルーツソースのようにほんのりと甘く詰まった香りが引き立ちます。タッチは滑らかで凝縮感のある奥深い果実味と香りが口中を埋め尽くすように広がり、密度の高い果実のエキスを充分に感じ取ることができます。芯のある突き抜けるような張りのある酸がブレのなさ、そして軽やかな飲み心地を与えつつ、風味をしっかりと残し上品な印象も引き出します。16%とアルコール表示は高いものの、全くそのような印象を抱かないほど酸や風味のバランスが良く、骨格も感じさせながら軽くしなやかな飲み心地です。今後の熟成で、より妖艶で上品な様子が増していくことでしょう。
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