Simon Busser

●Printemps/NV15・16(プランタン:マルベック、メルロー)赤 2021年1月リリース

【2020年7月入荷】
タンク熟成していたマルベック2016年の揮発酸がやや高くなったことから、小樽熟成していたメルロー2015年を約30%ブレンドしまろやかさや甘み、綺麗なタンニンなどを溶け込ませ調整。プランタンNV15・16の名称で、今回のリリースとなります。
深紅の色合い。レーズンやプルーン、ブラックカラントなどのドライフルーツを想わせる凝縮した果実の香りに、新鮮なブルーベリーや赤い果実などの香りや酸、フレッシュ感が混ざり合うような印象、加えて僅かながらバニラやクローヴのような甘やかな香が感じられます
軽やかで滑らかな口当たりのミディアムタッチで、ほどよく若々しさのある緻密な果実の風味は大きく口中に広がり、紅茶のような香り高い風味も感じさせながら、充実した果実味が長く残ります。揮発酸を僅かに感じますが、豊かな果実味やスパイシーさ、ややビターな風味などが強く感じられることで突出した印象は受けません。むしろ、その揮発酸があることで重厚感が出過ぎず、全体を引き締めるような効果やしっかりとしたエキス感に抑揚を与えているようにさえ感じます。
●Pur Cot/2016(ピュール・コ:マルベック)赤 2021年1月リリース
【2018年11月入荷】
石灰質土壌の樹齢60年と砂質土壌の樹齢25年の違う2つの区画の葡萄を50%ずつアッサンブラージュ。開放タンクでピジャージュはやや多めにしルモンタージュも行いながら1ヶ月のマセラシオン。その後18ヶ月600Lの樽で熟成。地区名の「レ・ルージュ」とは「コー(マルベック)に適した土地」と昔から認められて付けられました。ラベルには、生まれ育ったこの土地に育つ樹齢の古いコーの区画を、大好きな馬で耕す場面を挿絵にした愛着のあるデザイン。
2018年入荷時は、少し硬さが先行するようなかっちりとした印象を受けましたが、約2年寝かせることで果実の風味や角の取れたしなやかさが引き出された味わいに変化しています。
やや黒みがかった濃い赤紫色。プルーンやカシスなどのドライフルーツを想わせる果実香や醤油やタバコや、ビターカカオの香り。香りからも甘さのニュアンスは控えめな様子が伺え、色合いの濃さから重厚感のある味わいを想像しますが、口に含むと硬さや雑味がなく滑らかな質感です。充実感のある香りや風味で骨格もありますが、小気味よい酸が終始感じられることでパワフルな印象はなく、軽さや冷涼感が感じられる口当たりです。ストレートに果実味や密度の高いエキス感が広がります。ビターカカオの中から黒系果実のベリーソースが溢れるように、若々しい果実味とともに落ち着いた雰囲気を感じさせます。この先の熟成による一層のしなやかさや上品な様子が引き出されることでしょう。
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