Sébastien Dervieux – Les Vignes de Babass

2023年ヴィンテージは、9月の長雨に悩まされた年となりました。葡萄は順調に熟していたものの、成熟の最終段階にあたるあと3〜7日間に特に多くの降雨があり、病気や腐敗のリスクが高まったため、収穫は厳格な選果を行いながら、やや早めの時期に実施しました。その結果、果実の風味はしっかりと感じられる一方で、ややアルコール度数は例年に比べてやや低く、軽快感のある仕上がりとなりました。白ワインはもちろん、赤ワインも少し冷やしてお楽しみいただけるスタイルとなっており、この暑い時期から残暑にかけて最適な味わいとなっております。グロローは作付け面積が広いことから、グロルン・ロールの醸造が可能でしたが、ガメイ (オー・ボン・スクール)及びシュナン・ブラン(ナヴィーヌ、ジョセフ・アンヌ・フランソワーズ)は収穫量が少なかったことにより、ブレンドを余儀なくされました。そのため、ガメイとグロローのブレンドは「ブリュタル・アニエス」、2区画をブレンドしたシュナン・ブランは「ブリュタル・ババス」と名付けられました。

●Groll’n Roll/2023(グロルン・ロール2023年:グロロー)赤 2025年7月リリース

【2025年4月入荷】
全房で15日間マセラシオン。ファイバータンクで3ヶ月間の発酵と熟成。
薄濁りでややくすみのある赤紫色。グレナデンシロップや赤いプラム、カシス、ブラックベリー、ブルーベリーといった赤や黒系果実が混ざり合い、さらに、紫や赤の花々、黒胡椒の香りが重なり、華やかに立ちのぼります。ピリピリと舌先をかすめるガスが若々しい印象を与え、赤い果皮を持つ果実のジューシーでピュアな果汁に、黒系果実を漬け込んだかのようなフルーティーな風味が、瑞々しく清らかに喉を通ります。軽快でほどよい甘みを伴った溌剌としたチャーミングな果実味に、黒胡椒のニュアンスや黒葡萄の果皮をかじった時のような微細なタンニンが絡み合い、アフターにかけて引き締まった印象が残ります。
●Brutal Agnes /2023(ブリュタル・アニエス2023年:ガメイ50%、グロロー50%)赤 2025年7月リリース
【2025年4月入荷】
全房で一緒に14日間マセラシオン。ファイバータンクで3ヶ月間の発酵と熟成。
薄濁りのわずかに紫がかった中程度の赤色。ドライ苺やグレナデンシロップ、熟した赤いベリー系果実にブラックベリーの香りが溶け込み、加えて白や黒胡椒、カルダモンなどの爽やかなスパイス、紫の生花、ポプリ、お香が調和し、華やかさの中に奥ゆかしさが感じられます。軽快なミディアムライトタッチで、舌先をピリピリと刺激するガスが若々しさを際立たせ、みずみずしい赤い果実の果汁を想わせる明るい果実味が広がります。中盤からは黒系果実や紅茶、お香などの風味、微細なタンニンが重なり、可憐でありながらもたおやかで品のある印象を醸し出します。アフターにかけては充実感とともに深みが増していきます。チャーミングな果実味が主体のグロルン・ロールに対して、果実の甘やかさや凝縮した風味がより感じられる仕上がりです。
●Brutal Babass/2023(ブリュタル・ババス2023年:シュナン・ブラン)白 2025年7月リリース
【2025年4月入荷】
ナヴィーヌの区画の葡萄は80%、ジョセフ・アンヌ・フランソワーズの区画の葡萄を20%使用。それぞれ別々にダイレクトプレスした後にブレンド。ファイバータンクで5ヶ月間の発酵と熟成。
僅かに濁りのある中程度の黄色。黄桃やプラム、アプリコット、やや硬めのパイナップル、マンゴーといった果肉感あふれる果実に、白い花、黄桃の核などの芳ばしさ、鉄分、ヨード香などのニュアンスが加わります。瑞々しく清らかなタッチで、熟した豊かな果実味にキレのある酸がメリハリを与えながら、口中へと広がります。フルーティーでフレッシュな風味を保ちながら、徐々にコクや奥行きをもたらす芳ばしさが重なり、時折感じられる塩味がアクセントとなり抑揚をつけ、充実感が増していき旨みが長く残ります。
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